「やりたいこと」とは複雑な概念だ、と思った。

 「やるべきこと」に比べて、「やりたいこと」というのは複雑な概念だと思う。

 まず「今~近い未来にやりたいこと」という予定のようなものがあるし、反対に「人生でやりたいこと」のような行う時期があいまいなものがある。
 「やりたいけどやりたくないこと」というのもあるし――例えば、部屋がゴチャゴチャしていて不快なので片づけて模様替えもしたい。でも面倒だからやりたくない、というような――「やるべきこと」が「やりたいことに化ける」こと――やらないといけないことなら、今日の内にやってしまいたい――もある。
 ちょっと体験してみたい「やりたいこと」もあるし、長く取り組んでいきたい「やりたいこと」もある。

 何か「やりたいこと」が頭に浮かんだ時、それが一体どんな種類の「やりたいこと」であるのか考えてみることは、結構大事なのかもしれない。

 

 今の私の生活で純粋に「やるべきこと」に分類されるのは、日々の小さな家事である。
 食材を買ってきて、料理をし、調理器具や食器を洗う(正直、食事をとるのも半ば「やるべきこと」扱いなんだが……)。服やタオルを洗濯する。主な生活空間をさっと掃除する。
 そういった事柄はやるべきだがやりたくもない事で、将来は家政婦でも雇えるようになりたいと思うほどだ。

 一方、それ以外のほとんどは「やりたいこと」である。「やりたいけどやりたくないこと」というものも多く含まれるが。
 部屋の片づけをして住空間を快適にする、ブログを書く、筋トレをするなど。無職で療養中だから当然と言えば当然かもしれない。

 

 さて、生活スタイルに関する「やりたいこと」の中に、『図書館を活用して読みたい本をたくさん読む』というものがあった。
 簡単に実行できそうだし為になる、けれど長年放置されてきた「やりたいこと」だったので、実行する事を決意し、実際に本を借りた。

 ところがどっこい。
 図書館で借りた本には返却期限がある。つまり、コイツはさっさと読んでしまわないといけない、優先度の高いタスクとしての側面も持っていた。
 だがしかし、私の抱えるタスクリストには他にも色んな項目が渋滞を起こしている。大抵は特に期限のないものだが、例えば本格的に寒くなる前に済ませておきたいことだとか、Aのタスクをやるならその前にBのタスクを片づけておいた方が良いとか、特定のゴミの処分のように実行の機会が少ないものとか、そういった「後々を考えると今の内に済ませておきたいこと」は、結構な数あった。
 他のタスクが気になる中、ブチ散らかった空間で本を読んで、果たして内容が頭に入るか? ……頭に入らないとは言わないが、読書体験としては悪質なものになってくる。

 つまり、私にとって図書館を活用するのは「その内に自分の人生に取り入れたいこと」で、部屋の片づけ等は「今~近い未来にやりたいこと」だったのだ。

 

 人によっては当たり前の話かもしれないが、アスペルガーADHDで頭の中がとっ散らかった状態がデフォルトの私にとっては、身に染みて学習する事になった経験だったわけだ。

 とりあえず、部屋の片づけやらが気にならなくなる程度まで終わるまでは、図書館の利用はナシである……。